Google AI Threat Defense(AITD)とは?国内提供開始とNEC・富士通など6社パートナーを解説

2026年8月2日日曜日

AIとか… Gmailとか…

t f B! P L

📖 推定読了時間:約8分

「サイバー攻撃のスピードにセキュリティ対応が追いついていない」——そんな不安を感じている企業の情報システム担当者は少なくないはずです。攻撃側がAIを使い始めたことで、脆弱性が見つかってから悪用されるまでの時間はかつてないほど短くなっています。

そんな中、グーグル・クラウド・ジャパンは2026年7月31日、AIを活用したセキュリティソリューション「Google AI Threat Defense」(AITD)の国内提供を発表しました。NEC、富士通、日立製作所など6社がローンチパートナーとして参加するこの取り組みは、一体何を解決しようとしているのでしょうか。この記事では、AITDの仕組みや必要とされる背景、導入するメリットや従来のセキュリティ対策との違いについて、できるだけわかりやすく整理します。

この記事のポイント

  • Google AI Threat Defenseは、Gemini・Wiz・Mandiant・CodeMenderを統合した自律型のセキュリティプラットフォーム
  • AIによる攻撃の高速化に対し、「検知」だけでなく「優先順位付け」と「自動修復」まで一気通貫で行う点が特徴
  • 国内はNEC・富士通・日立製作所、グローバル(日本含む)はNTTデータ・アクセンチュア・デロイト トーマツの計6社がローンチパートナーとして参加

そもそもGoogle AI Threat Defenseとは何なのか

Google AI Threat Defenseは、Google Cloudが提供する常時稼働の自律型セキュリティプラットフォームです。2026年5月にグローバルで発表され、今回7月31日に日本国内での提供が正式にアナウンスされました。

特徴的なのは、単一のツールではなく、Googleがこれまで培ってきた複数のセキュリティ資産を一つのアーキテクチャにまとめている点です。構成要素は次の4つです。

構成要素 役割
Gemini 推論やコード解析、脆弱性発見、修復コードの生成などプラットフォーム全体の頭脳を担う。単一モデルでは限界があるため、複数のフロンティアモデルを組み合わせるマルチAI戦略も採用
Wiz クラウド環境のリスクを文脈込みで可視化し、どこから手を付けるべきかの優先順位付けを行う
CodeMender 脆弱なコードの修復を担うエージェント(現時点ではパブリックプレビュー段階)
Mandiant 最前線の脅威インテリジェンスとインシデント対応の専門知識を提供する

この4つに加えて、セキュリティ運用を支援する「SecOps」も組み合わさることで、脅威の監視から修復までを一つの流れとして自動化しようとしているのが、AITDというプラットフォームの全体像です。

なぜ今、こうした仕組みが必要なのか

「セキュリティ製品はこれまでもたくさんあったのに、なぜ今さら新しいプラットフォームが必要なのか」と感じる方もいるかもしれません。その背景には、攻撃側の変化のスピードがあります。

従来、脆弱性が発見されてから実際に悪用されるまでには、数週間程度の猶予があるのが一般的でした。ところが攻撃者側もAIを活用するようになったことで、この「悪用までの猶予期間(エクスプロイトウィンドウ)」は数時間から数日単位にまで縮まっているといわれています。人手中心のパッチ管理では、もはやこのスピードに対応しきれなくなっているというのが、Google側の問題意識です。

💬

「脆弱性が見つかったらすぐ対応すればいい」と思っていても、発見から悪用までの時間がここまで短くなると、人力での対応にはどうしても限界を感じますよね。

Googleは自社サービスにおいて、月間数万件以上のセキュリティレポートを処理してきた実績を持ちます。AIを活用することで、その処理時間を90%以上削減してきたとされ、この知見を外部の企業にも提供する形で生まれたのがAITDです。他社のAIセキュリティ製品が「脆弱性を発見して注意喚起する」ことに重点を置いているのに対し、AITDは実環境で最も重大なリスクを優先順位付けし、修復まで加速させる点を差別化のポイントとして掲げています。

実は国内メガバンクもすでに動き出している

今回の発表で興味深いのは、国内提供の発表とほぼ同時に、すでに国内メガバンク3行がAITDの評価に着手していると明かされた点です。5月のグローバル発表直後に国内企業のCISO(最高情報セキュリティ責任者)向けに開かれたクローズドセミナーでも、大きな反響があったといいます。金融機関のように高いセキュリティ水準が求められる業界がいち早く動いているという事実は、このプラットフォームへの注目度の高さを物語っていると言えるでしょう。

今回のローンチパートナーは、国内と海外を合わせて6社です。

  • 🇯🇵国内パートナー:NEC、富士通、日立製作所
  • 🌍グローバル(日本含む)パートナー:NTTデータ、アクセンチュア、デロイト トーマツ

グーグル・クラウド・ジャパンとこれらのパートナー各社は、2026年末を期限として、AITDを用いた無償のセキュリティアセスメントサービスを提供するとしています。クラウド環境の脆弱性の可視化や対策の優先順位付けを、費用をかけずに体験できる機会ということになります。

💡 無償アセスメントは2026年末までの期間限定です。導入を検討している場合は、早めに公式サイトやパートナー企業を通じて詳細を確認することをおすすめします。

導入するメリットと、押さえておきたい注意点

AITDのメリットとして挙げられているのは、大きく分けて次の3点です。

1

守るべき範囲をAIが自動で可視化し、優先順位を付けてくれること

2

弱点の修正コードをAIが即座に生成し、対応時間を大幅に短縮できること

3

24時間365日の自律監視によって、セキュリティ人材が不足している企業でも高度な防御体制を構築しやすくなること

特にセキュリティ人材の確保が難しい中堅・中小企業にとっては、専門家を大勢抱えなくてもAIが監視と初動対応を担ってくれるという点は、心強い材料になりそうです。

一方で、注意しておきたい点もあります。AITDはあくまで自動化された「支援」の仕組みであり、最終的な判断や契約内容の確認は自社で行う必要があります。料金体系や具体的な機能範囲は導入するパートナー企業や契約プランによって異なる可能性が高いため、この記事の内容だけで判断せず、必ず公式サイトや各パートナー企業への問い合わせを通じて最新情報を確認するようにしてください。

従来のセキュリティ対策とは何が違うのか

「結局、これまでのセキュリティ製品と何が違うの?」という疑問を持つ方のために、考え方の違いを簡単に整理しておきます。

観点 従来型の対策 Google AI Threat Defense
対応の起点 人手による脆弱性の発見・確認 AIによる継続的な監視と自動分析
対応範囲 検知・注意喚起が中心 優先順位付けから修復コード生成まで一気通貫
モデルの使い方 単一ツール・単一モデルが中心 複数のフロンティアモデルによるマルチパス分析

こうして比べてみると、AITDは「見つけて終わり」ではなく「見つけて、優先順位を付けて、直すところまで」を目指したプラットフォームであることがわかります。人間のセキュリティ担当者が判断に時間を取られていた部分を、AIが下支えしてくれるイメージに近いかもしれません。

まとめ

Google AI Threat Defenseは、AIによって高速化するサイバー攻撃に対抗するために、Gemini・Wiz・CodeMender・Mandiantといった複数のセキュリティ資産を統合した自律型プラットフォームです。国内ではNEC・富士通・日立製作所、グローバルではNTTデータ・アクセンチュア・デロイト トーマツの6社がローンチパートナーとして参加し、2026年末までは無償のセキュリティアセスメントも提供されています。

すでに国内メガバンクが評価に着手しているように、セキュリティ人材の不足やAIによる攻撃の高速化に課題を感じている企業にとっては、検討する価値のある選択肢と言えそうです。まずは自社のセキュリティ体制を見直すきっかけとして、公式サイトやローンチパートナー各社の情報を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

このブログを検索