「パスワード使い回し」が6割超|ゾーホージャパン調査に見る企業のセキュリティの盲点

2026年8月14日金曜日

セキュリティとか…

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「このサービスのパスワード、他でも使っていたような…」——業務で使うツールが増えるたびに、こんな不安がよぎったことはありませんか。頭では良くないと分かっていても、覚えるパスワードの数が増えるほど、つい同じものを使い回してしまう。これは決して一部の人だけの話ではないようです。

ゾーホージャパンが2026年6月30日に発表した「企業のパスワード管理に関する実態調査2026」では、業務でID・パスワードを使用するビジネスパーソン1219人を対象にした調査結果から、多くの企業が抱える管理体制の課題が浮き彫りになりました。この記事では、その調査結果を整理しながら、自分や自社の管理体制を見直すヒントを紹介します。

この記事のポイント

  • パスワードの使い回し状況(役職別の傾向を含む)
  • 個人用・法人用パスワード管理ツールの導入率
  • 退職・異動時のアカウント管理に潜むリスク
  • 企業規模によるセキュリティ対策の差
  • 個人・組織それぞれが今日からできる対策

「使い回している」と答えた人が、実は6割を超えていた

調査によると、回答者全体の64.9%が、業務で利用するサービスやシステムの一部または大半でパスワードを使い回していると答えました。「自分だけは大丈夫」と思っていた方も、実はかなり多くの同僚が同じ状況にあるかもしれません。

興味深いのは、役職別の内訳です。一般社員が58.8%だったのに対し、管理職は69.5%、経営層は66.5%と、むしろ役職が上がるほど使い回しの割合が高くなるという結果が出ています。責任のある立場の人ほど、扱う情報も権限も大きくなりがちなことを考えると、これはなかなか見過ごせない数字です。

  • ⚠️全体の64.9%がパスワードを使い回していると回答
  • ⚠️管理職(69.5%)・経営層(66.5%)の方が一般社員(58.8%)より使い回し率が高い
  • 👍実態を知ることが、対策の第一歩になる
💬

「管理職の方が意識が高いはず」という思い込み、正直あったのではないでしょうか。実際には権限の大きい立場の人ほど使い回しが多いというのは、組織全体のリスクという意味で見過ごせないポイントだと感じます。

実はここが盲点。管理ツールを「導入していない」人が過半数

パスワードの使い回しを防ぐ手段として広く知られているのが、パスワード管理ツールです。ところが今回の調査では、個人用のパスワード管理ツールを「導入していない」と回答した人が53.6%と、半数を超える結果となりました。

導入していない理由として最も多かったのは「必要性を感じていない」で29.6%、次いで「これまでの管理方法で問題が起きていない」が25.6%でした。「今のところ困っていないから大丈夫」という感覚は理解できる一方、パスワードの使い回しによる被害は、問題が起きて初めて気づくケースが多いという点は意識しておきたいところです。

退職者のアカウントが残ったまま、というリスク

調査ではもう一つ、見逃せない実態が明らかになっています。従業員の退職・異動に伴うアカウントのパスワード変更やアクセス権削除の状況について尋ねたところ、「組織的に統一されていない」が14.1%、「ほとんど実施していない」が20.3%、「分からない」が16.8%という回答があり、これらを合わせると約半数が、退職・異動時のアカウント管理に何らかの課題を抱えていることが分かりました。

💡 「過去3年以内に、退職した元従業員のアカウントが退職後もアクセス可能な状態のまま残っていたことがある」との回答は約1割に上りました。決して他人事とは言えない数字です。

「辞めた人のアカウントなんて、放っておいても実害はないだろう」と考えがちですが、外部からの不正アクセスの経路として悪用されるリスクは常に存在します。組織として、退職・異動のタイミングでのアカウント整理を仕組み化しておくことの重要性が、この数字からも見えてきます。

企業規模によって、対策の差がくっきり

調査結果を企業規模別に見ていくと、対策の浸透度合いに明確な差があることも分かりました。

項目 30〜99人規模の企業 500〜999人規模の企業
パスワードポリシーの明文化・周知 25.3% 44.6%
法人用パスワード管理ツール未導入 61.6%(最も高い水準) 相対的に低い水準

企業規模が大きいほど、パスワードポリシーの明文化や管理ツールの導入が進んでいる一方、比較的小規模な企業では、こうした対策がまだ十分に行き届いていない実態がうかがえます。「うちは小さい会社だから狙われないだろう」という考えは、必ずしも安全を保証してくれるわけではありません。

今日からできる、個人と組織それぞれの対策

調査結果を踏まえ、個人・組織それぞれの立場で取り組める対策を整理しました。

  1. 個人でできること:パスワード管理ソフトの導入——サービスごとに異なる強固なパスワードを設定し、自分で覚える必要をなくすことが、使い回し防止の基本です。パスワード管理ソフト(法人・個人向け)を使えば、個人利用はもちろん、組織単位での一括導入・管理も可能です。
  2. 個人でできること:2段階認証・物理キーの活用——万が一パスワードが漏れても、物理的な鍵がなければログインできない仕組みを作っておくと安心です。USBセキュリティトークンのような物理的な認証手段を併用することで、パスワードだけに頼らない多層的な防御が可能になります。
  3. 組織でできること:退職・異動時のアカウント整理を仕組み化する——担当者任せにせず、退職・異動が発生した際のパスワード変更・アクセス権削除を、チェックリストや自動化の仕組みとして定着させることが重要です。

セキュリティ対策の基本的な考え方に不安がある方は、情報セキュリティ入門書で、パスワード管理以外も含めた全体像を先に押さえておくと、対策の優先順位をつけやすくなります。

🌱 ちょっと余談

同時期に発表された別のセキュリティ調査でも、個人向けのパスワード使い回し率は8割超という近い傾向の数字が示されています。業務用・個人用を問わず、「パスワードの使い回し」は依然として多くの人に共通する根深い課題のようです。

なお、本記事で紹介した調査結果は、ゾーホージャパンが2026年5月下旬から6月上旬にかけて実施し、同年6月30日に発表したものです。調査時点の数値であり、今後の状況変化については、必要に応じて同社の公式発表を確認することをおすすめします。

まとめ

今回のゾーホージャパンの調査は、パスワードの使い回しが一部の不注意な人だけの問題ではなく、管理職や経営層を含む多くのビジネスパーソンに共通する、構造的な課題であることを示しています。個人用・法人用ともに管理ツールの導入が進んでいない実態、そして退職・異動時のアカウント整理の甘さは、どちらも「気づいたときには手遅れ」になりやすいリスクです。

まずは自分自身のパスワード管理状況を振り返るところから始めてみてください。使い回しに心当たりがある方は、パスワード管理ソフトの導入を検討する良いタイミングかもしれません。組織としての対策を任されている方は、退職・異動時のアカウント整理フローが仕組み化されているか、この機会に一度確認してみてはいかがでしょうか。

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