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「半年に一度のFedoraリリース、また追いかけるのか……」と思いつつも、毎回しっかり変化を追ってしまうLinuxユーザーは多いのではないでしょうか。2026年9月5日、Fedora 45の最終ベータ候補「Beta-1.3」がリリースされました。正式版のリリースは10月20日を予定しており、ベータはあと少しで締め切りを迎えます。今回のFedora 45は、ツールチェーンの大型アップデートからセキュリティ強化、まったく新しいインストーラーまで、変化点がかなり多い内容です。この記事で、一通りの要点を押さえていきましょう。
この記事のポイント
- Fedora 45 Beta-1.3が2026年9月5日にリリース、正式版は10月20日予定
- GCC 16.2・Python 3.15・Go 1.27・LLVM 23など、ツールチェーンが一斉に大幅更新
- RPMがデフォルトで署名検証を強制するようになり、未署名パッケージの扱いが変わる
- SilverblueとKinoiteにWeb版の新Anacondaインストーラーが登場
- 3つのベータブロッカーが残っており、解消できなければリリースが1週間延期の可能性も
目次
ベータ最終候補とは何か:Beta-1.3の立ち位置
Fedoraのリリースプロセスでは、ベータ版が公開された後、複数のリリース候補(RC)がコミュニティのテストを経て段階的に精度を高めていきます。今回のBeta-1.3(Compose Fedora-45-20260905.0)は、公式ベータとして最後の調整版と位置づけられています。これ以降は、コミュニティがブロッカーバグを修正しながら正式版(GA)に向けた最終確認を行う段階に入ります。
対応アーキテクチャはx86_64・aarch64・ppc64le・s390xの4種。デスクトップ環境としてはWorkstation(GNOME)、KDE Plasma、Xfce、Budgie、i3/Sway、そして今回から注目のCOSMIC Atomicが加わっています。Fedora Labsとして天文学・デザイン・ゲーム・セキュリティ向けの特化エディションも含まれており、バリエーションの豊富さは相変わらずです。
今回最大の変化:ツールチェーン総入れ替えの規模感
Fedoraらしいと言えばそれまでですが、今回のバージョンアップはパッケージ類の更新規模が特に大きいです。メジャーなものだけ並べてみると、その分量に驚く方も多いのではないでしょうか。
| コンポーネント | Fedora 44 | Fedora 45 |
|---|---|---|
| GCC | 15.x | 16.2 |
| Python | 3.14 | 3.15(開発版) |
| Go | 1.25 / 1.26 | 1.27 |
| LLVM | 21 | 23 |
| Perl | 5.42 | 5.44 |
| RPM | 6.0 | 6.1 |
| glibc | 2.42 / 2.43 | 2.44 |
| MySQL / MariaDB | 8.4 / 10.x | 9.7 / 12.3 |
表の中で特に注目したいのがPython 3.15です。これは最終リリース前の開発版にあたります。Fedoraがあえて開発中のバージョンを採用するのは、Python自身のバグを実際のLinuxディストリビューション上で早期に発見し、Python本体の品質向上に貢献するというFedoraの方針に基づくものです。エンドユーザーにとってはリスクを理解した上で試す価値があります。
また、データ分析でよく使われるPythonライブラリのPandasが3系になり、Copy-on-Write(書き込み時コピー)の動作がデフォルトになっています。既存のデータ処理スクリプトが想定外の挙動を示す可能性があるため、アップデート後は動作確認を行うことをおすすめします。
これからLinuxを使い始めたいという方は、まずLinux入門書籍でコマンドライン操作やパッケージ管理の基礎を押さえてから試すと、こうした変更点の意味が理解しやすくなります。
地味に重要:RPMが署名検証を強制するようになった
ツールチェーンの更新に比べると地味に見えますが、日常のパッケージ管理に直接影響するのがRPM 6.1の変更です。Fedora 45では、RPMがデフォルトでパッケージの署名検証を強制するようになります。未署名のパッケージや、信頼されていないキーで署名されたパッケージは、通常の手順ではインストールできなくなります。
「これまで通り動くはず」と思っているサードパーティのリポジトリや、自分でビルドしたRPMパッケージがある場合は、アップデート前に署名の状態を確認しておくことを強くおすすめします。この変更はセキュリティの向上という意味では明確に良い方向ですが、署名されていないパッケージに依存した独自環境を持つ方には、移行時に注意が必要な変更です。
⚠️ アップグレード前に確認しておきたいこと
サードパーティのリポジトリを追加している場合は、そのリポジトリがRPMの署名要件に対応しているかどうか、アップグレード前に確認してください。未対応の場合、依存パッケージのインストールがブロックされる可能性があります。
あわせて、ptrace(プロセストレース)の動作も変わります。非特権ユーザーがほかのプロセスをトレースするためのptraceシステムコールが、デフォルトで制限されるようになります。デバッガを使った開発作業を日常的に行っている方や、一部のセキュリティツールを利用している場合は、設定の変更が必要になる可能性があります。
Atomic系デスクトップに新インストーラー登場
Fedora SilverblueとKinoiteは、OSTREEを使ったイミュータブル(不変)なデスクトップ環境で、コンテナ技術を活用した次世代的な使い方ができるFedoraの特殊エディションです。Fedora 45では、この2つのエディション向けにGTKベースの従来インストーラーに代わるWeb版の新しいAnacondarインストーラーが導入されます。
新インストーラーの注目点として、PINコード認証を使ったHTTPS経由のリモートインストールが可能になっています。また、ストレージ管理ツールのStratisがAnacondarに統合され、KickstartやCockpit Storageエディターとの連携も強化されています。
「Workstationにはまだ新インストーラーが来ないの?」と思う方もいるかもしれません。Ubuntu 26.10でも似たような流れがありましたが、まずAtomic系から先行導入して実績を積む、というのは最近のLinuxディストリビューションでよく見られるアプローチです。
その他の注目変更点
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kmsconが仮想コンソールの標準に:カーネルの仮想端末コンソール(fbcon)が、よりセキュアで高機能とされる
kmsconに置き換えられます。ただし、後述のブロッカーバグの原因ともなっており、正式版までに安定するかが注目されます。 -
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Podman 6が旧来の依存を切り捨て:コンテナランタイムのPodmanがバージョン6になり、ネットワークの仮想化を担っていた
slirp4netnsと、旧来のコンテナグループ管理方式であるcgroups v1のサポートが削除されます。コンテナを日常的に使っている方は移行の要否を確認してください。 - ✅ Ruby on Rails 8.1 / MySQL 9.7 / MariaDB 12.3:Webアプリ開発向けのパッケージも大幅に更新されています。
- ⚠️ ISOサイズが上限超え:aarch64向けのEverythingブートイメージが1.39GB(上限1.30GB)を超過するなど、複数のイメージでサイズの基準値をオーバーしています。libxml2 2.15の大規模リビルドの影響とされており、正式版までに圧縮されるかが課題となっています。
今残っている3つのブロッカーと、リリース延期の可能性
ベータ版として公開されているものの、現時点では3つの「ベータブロッカー」と呼ばれる問題が未解決のまま残っています。これらが期限内に解消されない場合、リリーススケジュール全体が1週間後ろ倒しになります。
| 問題 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| Plasmaログイン黒画面 | KDE Plasma環境でログイン後に画面が真っ黒になる | KDE Plasma利用者がログインできなくなる重大な問題 |
| kmscon NULLポインタ | 新仮想コンソールのkmsconがNULL参照でクラッシュする | 仮想コンソール使用時にシステムクラッシュの恐れ |
| AnacondarのBugzilla報告失敗 | インストーラー内からのバグ報告機能が動作しない | QA(品質保証)活動を妨げるが、インストール自体は可能 |
最初の2つは実際の使い勝手に直結する問題です。特にPlasmaのログイン不能バグは、KDE環境でFedoraを使っている方にとってかなり致命的です。Fedoraのリリース基準では、これらが解消されない限り正式ベータとしての条件を満たさないため、スケジュールが1週間延びる可能性もあります。
最新のブロッカー状況は、Fedora公式のBugzillaで公開されているブロッカーバグの依存ツリーから確認できます。コミュニティのQAに参加したい方は、Matrix上の#quality:fedoraproject.orgチャンネルで情報交換が行われています。
試す前に知っておきたいこと
Fedora 45 Beta-1.3のイメージはすでにダウンロード可能な状態です。ただし、上述の通りKDE環境では重大なブロッカーが残っているため、現時点ではGNOME(Workstation)またはCOSMIC Atomicでの検証が現実的です。
試す際のポイントをまとめます。
- 普段使いのメイン環境へのインストールはリスクが高いため、サブ機や仮想マシンでの検証を強くおすすめします
- 実機で試す場合は、USBメモリでライブ環境を起動してから様子を確認するのが安全です
- Pythonスクリプトやサードパーティのリポジトリを多数使っている環境では、RPM署名強制・Pandas 3の挙動変化に注意が必要です
- Fedoraを初めて試してみようという方には、まず動作確認済みのPCで試すとつまずきが少なくなります。Linux動作確認済みミニPC・ノートPCを用意しておくと、ドライバーの対応問題に悩まずに済むことが多いです
海外メディアのLinux Compatibleは、今回の状況を端的に伝えています。
"If the community cannot resolve these issues by Wednesday's deadline, the release schedule will slip by an additional week."
(訳:水曜の締め切りまでに問題が解決できない場合、リリーススケジュールはさらに1週間ずれ込む)
ブロッカーを直すのも、テストして報告するのも、すべてボランティアコミュニティの力によるものです。こうした締め切りとの戦いが毎回繰り返される、というのがFedoraらしさでもあります。
なお、本記事の内容は2026年9月7日時点で公開されている情報にもとづいています。ブロッカーの解消状況やリリーススケジュールは変わる可能性があるため、最新情報はFedora Magazineや公式のBugzillaでご確認ください。
まとめ
Fedora 45のベータ最終候補は、GCC 16・Python 3.15・LLVM 23といった大型ツールチェーン更新に加え、RPMの署名検証強制、kmsconへのコンソール切り替え、そしてAtomic系デスクトップへの新Anacondaインストーラー導入と、変化点が非常に多い内容です。一方でKDE Plasmaのログイン不能をはじめとするブロッカーが3つ残っており、正式リリース(10月20日予定)に向けてコミュニティが急ピッチで対処を進めている状況です。
今すぐ試したい方は、GNOMEエディションのライブUSBから始めるのがおすすめです。Fedoraに初めて触れてみようという方も、これを機にLinuxの世界へ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。


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